家庭教育コラム No.26

あのね、けいこ先生! vol.18「思いやりが薄いようで心配」 〔8つのすすめ 5〕

お悩み相談の内容

きょうだいや友達にきつく当たることが多く、思いやりの気持ちが薄いようで心配です。
(小学校低学年の保護者)

けいこ先生より

 確かに心配になっちゃいますよね。もしかしたら、したくてそうしているわけではないのかも…。お子さんなりに色々な思いを抱えて、精一杯生きておられるのだと思います。

 まず、一見わかりにくいのだけれども、「お子さんなりの思いやりの姿」があるのもしれません。ちょっと探ってみてくださいね。

 次に、「きつく当たることが多い」姿を裏返してみる。「頭の回転が速い」「語彙が豊富にある」「言いたいことが明確にある」「自分の考えを言葉にすることができる」「自分の思いを相手に伝えることができる」など、素敵なところがいっぱいです。
 そして、もし本当に「思いやりの気持ちが薄い」としても、それはそれでいいんじゃないかなぁ。人それぞれかなぁ。自分や誰かを意図的に傷つけていなければ、ゆるやかに見守っていただいてもよいのかもしれません。

 最後に、子どもたちの生活へのSNS(動画配信を含む)の浸透すさまじく、そこで飛び交う膨大な言葉たちは、私たちが先達から受け継いできた形式や様式を踏まえていないものもあるかもしれません。乾いたスポンジが水を含むようにそれらの言葉を吸い込んだ子どもたちから出てくる言葉の中には、時には受け止めがたいものもあるように思います。できればその姿を頭から否定するのではなく、「子どもたちは,そういう時代をたくましく生き抜こうとしているんだな」と一旦受け止めていただいて、その上で、私たちの思いをゆっくりと伝えていけるといいのかなぁと、私自身も自分に言い聞かせる日々です。

 すべてのお子さまと保護者の皆さまが、毎日を幸せに過ごせますように、心から願っています。

家庭で子どもを育むための8つのすすめから

今回のご相談は、金沢市教育委員会の家庭教育に関する指針『家庭で子どもを育むための8つのすすめ』の「5 大切にしよう 思いやりの心 すべての命」に関連するご相談かと思います。どうぞお時間のありますときに、『8つのすすめ』もご覧ください。

家庭で子どもを育むための8つのすすめ(PDFファイル: )

けいこ先生

金沢大学人間社会研究域学校教育系 教授 滝口 圭子(たきぐち けいこ)氏
発達心理学を専門とし、保育、教育の実践と研究に広く携わる。
自身の子供は思春期爆走中。