家庭教育コラム No.19
No.19 あのね、けいこ先生! vol.11「話しかけてもあまり話をしたがらないお年頃」
お悩み相談の内容
6年生になると、話しかけてもあまり話をしたがらない。コミュニケーションに努力が必要になってきて疲れます…。
けいこ先生より
そのお気持ち、よくよくわかります。以前は何気なく、楽しくできていた会話が、いつのまにか成立しなくなってくる…。さて、私も自分の親に対してそうだったかな…いやでも、もう少し親に気を遣って話をしていたような…なんて振り返ったりもするのですが、かつての皆さまはいかがでしたでしょうか。
いわゆる「思春期」の訪れに伴う親子関係の揺れ動きや結び直しに直面して、戸惑う保護者は少なくないと思います。性ホルモンの分泌に始まる身体と心の変化の入り口、あるいはただ中に立つ(立たされている)子どもたち。悩んだり、妬んだり、落ち込んだり、傷ついたり、傷つけたり、いらだったりする自分自身を、その身のうちに抱えながら、日々を過ごしていることと思います(もちろん、その個人差は大きいのですが)。
そうした日々の中で、保護者に対して、批判や嫌悪、いらだちを表すこともあるかと思いますが、それは、保護者との間に基本的な信頼関係が築かれている証左のようにも思えるのです。
どんなにそっけない態度を取ったとしても、あなたが私を見捨てることは、決してない」と、感じ取っていればこその「反抗」。
子どもとの会話が成立しにくくなるのは、保護者としてはとても切なく寂しいものですが、「子どもが、保護者に(必要以上に)気を遣うことなく、自身の内面を表出することができる関係を築くことができている」ことを大いに喜んでいただいて、保護者から話しかける頻度を、少しだけ減らしてみてもよいかもしれません。そのうち、お子さんの方から話しかけてくることもあるのでは…。
全てのお子さまと保護者の皆さまが、毎日を幸せに過ごせますように、心から願っています。
金沢大学人間社会研究域学校教育系 教授 滝口 圭子(たきぐち けいこ)氏
発達心理学を専門とし、子どもの発達を踏まえた保育、教育を研究。
自身も現在、小学生と中学生の3児の母として子育て奮闘中。